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zoom RSS 防災会議の一員として陸上自衛隊の隊員追加することに反対する理由とは・・・

<<   作成日時 : 2007/07/22 00:08   >>

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中野区議会平成16年第2回定例会 (6月15日)において、むとう有子議員が防災会議の一員として陸上自衛隊の隊員追加することに反対する討論を行なっているので災害派遣の有用性に否定的な見解を述べている部分について少し分析してみたい。

ただいま上程されました第36号議案、中野区防災会議条例の一部を改正する条例に、無所属の会として、反対の立場から討論いたします。
 (中略)
 総論において、憲法上灰色の存在を結果的に地方公共団体が白だと認めてしまうことになる本条例を認めることはできません。


 ここまでは自衛隊そのものを否定しているので私のサイトでは分析の対象とはしない。自衛隊の存在を否定するなら災害派遣に対する有用性の論議はそもそも不要である。

 さて、災害に備え、また災害に対処するためには、住民相互の扶助活動が基本になると考えられます。そして、住民の要望があれば、行政の責任で、その活動をサポートしていく必要もあります。それゆえ関係諸機関の人々を委員として、中野区の防災会議が組織されていると理解しております。


 ここでむとう有子議員は住民の相互扶助が災害対処の基本と主張しているが、災害対策基本法においては市町村(特別区含む)に対して第5条で住民の生命財産のための計画策定と実施の義務規定を、一般住民に対して第7条第2項で災害への備えと防災への寄与の努力規定を設けている。住民の相互扶助が大切なのは同意するが、そもそも住民の相互扶助ではどうしようもないことがあるからこそ防災会議の根拠法たる災害対策基本法が制定され市町村に義務規定を設けているのである。したがって行政の責任はサポートといったレベルでは終わらないと考えられる。

申し上げるまでもなく、陸上自衛隊は軍隊組織です。近年イラクへの派兵をきっかけに、ますます米軍との連携を強めつつあります。軍隊組織であるがゆえに、自衛隊は基本的に上意下達の指揮系統で活動をしています。このことは、災害時に最も重要な横のつながりを基本とする住民の相互扶助活動にはなじみません。また、そもそも自衛隊は国防にかかわるもので、地方自治体での活動を前提とはしていません。かつ陸上自衛隊は、縦割りの指揮系統を持つ組織ですから、区長が任命する者といえども、実際の活動に当たっては、区長の指揮下で行動するものではありません。自治体の長としてその活動に歯止めをかけることができない組織の人間を、委員として任命することは無責任と言えましょう。


 ここでむとう有子議員は自衛隊が「上意下達の指揮系統」で動く組織であることを問題点としているが、地方自治体にしろ企業にしろ指揮系統上の上位者の適法・内規に適合した命令に従わないことは通常認められない。この点は自治体・企業・自衛隊における基本的な考え方に違いはない。
 また、むとう有子議員は区長の指揮下で行動しないことを問題点としているが、災害対策基本法第6条は指定公共機関及び指定地方公共機関に「当該都道府県又は市町村に対し、協力する責務を有する。」としているに過ぎず、災害時に区長が指揮できる範囲は区の組織と第23条第6項による教育委員会への指示に限られている。もし指揮できないことが問題であれば指定地方公共機関の関係者はすべて委員として不適格である。

 さらに、近年中野区の総合防災訓練に陸上自衛隊練馬駐屯地の第1普通科連隊が参加し続けています。迷彩服を着用した軍隊組織たる自衛隊が、地域活動に参加することに不安を持つ声が住民から聞かれます。重装備の自衛隊の目的は、住民の安全確保ではなく、国益に沿った作戦遂行であり、国益に沿わないと判断された住民を武力で排除する可能性を持っています。


 ここでむとう有子議員は自衛隊が武力で国益に沿わない住民を排除する可能性を問題としている。まず、被災地の住民への救援活動は国益に沿わないのだろうか。そのようなことを考える政治指導者を選挙で選び出したのだとしたら自衛隊云々以前(民主主義の致命的な欠点の露呈)の問題である。
 もうひとつ自衛隊自身が暴走する可能性も想定しているのであろう。自衛隊は法により武力の行使は厳しく制限されている。治安出動には自衛隊法第78条、第79条に定められた一定の条件の下内閣総理大臣の命令が必要である。可能性を言い出せば警察や海上保安庁も同様な可能性があるといえるし、彼らの武力行使に関する規制は自衛隊のそれより緩やかである。

 最近の自衛隊の活動を評して、自己完結型の組織だから力を発揮するのだという言葉を耳にします。自衛隊もそのように宣伝しています。自己完結という言葉は、元来余りいい意味を持たない言葉ではなかったかと思いますが、自分で何でもできるという意味らしいのですが、いずれにせよ、まさに自己完結しているがゆえに、住民の相互扶助活動にはなじみません。何が起こるのか、予測できない災害時に、さまざまな意思を持つ住民が存在する中で、みずからの組織でのみ完結している自衛隊員が、臨機応変に対応できるとは到底思えません。


 ここでむとう有子議員は自衛隊は閉鎖的で自衛隊以外の人協同できないと言う旨主張している。
 軍事組織が閉鎖的であるというのはよく言われるところであるが、災害救援の場面においてその指摘は正しいとはいえない。自衛隊では阪神・淡路大震災の経験などから地方自治体などとの綿密な調整、住民やボランティアなどと連携することで効率よく活動できるという認識(陸上幕僚監部『陸幕運第4号(12.1.11)別冊 災害派遣の参考』1-21)に立っており、自治体への自衛官の出向や、共同訓練の実施など広く行なわれているし、すでに当ブログでも既報のとおり救助犬訓練士協会との共同訓練なども実現している。
 なお、自己完結という言葉についても否定的なようなので少し解説すると消防機関なども「緊急消防援助隊は被災地において、72時間以上の衣・食・住等を含め自己完結を基本に活動する必要があります。」(消防庁総務課「消防の動き」平成19年3月号p27)という認識のもと『支援車』の導入を進めている。


なお、条例案は賛成多数で可決されている。

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